これまでの人生における数々の失敗。そのほとんどが自分の甘さや油断によるものであるという認識が出来る人は、まだ救いがあります。なぜなら、同じ失敗をする可能性が少しだけ減るからです。それでもすぐには成長できないのも現実。
順調な日々がしばらく続くと、どうしても過去を美化して、失敗を軽く評価する傾向があるのが我々人間の特性です。あんな失敗はもうないであろうと楽観視したタイミングでやってくる再度の災難。釣り上げた獲物を船の上で解体した際に発生した血の匂いが、遠くからサメを呼ぶような状況です。
航海初日から順調そのもの、ただし...
3万円からはじまった我らがFX号の航海。波も静かで順調そのもの、毎日釣り上がる獲物を食べながら、そのうち大型のマグロでも狙ってやるかという大きな夢も。
船の下にはすでに何匹かのサメが待ち構えていることにも、この時点では全く気が付かないワンパー船長。
24時間体制で運営されているFXでは、適当なタイミングで睡眠を取り必要もあり、万が一に備えて指値注文をすませて就寝。目覚めると予想以上に相場が好転して、かなりの利益を獲得。さらに広がる夢には、同居する家族も苦笑気味。
元手の3万円が増加を続け、すでに10万円をこえたタイミングで気が付いたのは、口座残高が上昇するにつれて、証拠金維持率がどんどん低下しているという事実。
いくつかのポジションを損切りしなければ、相場の急変に対応できない現状。例えるとしたら、すでにサメが背中にピタリとついて、口を大きく開けているという状況か?
背中にガブリと食いついたサメさんを決して恨みません。
その言葉からは、あっさりとした印象を受ける「損切り」という相場用語。それまで蓄積した利益を犠牲にする行為でありながらも、この損切りのタイミングを間違えるとエライことになるという予備知識はあったはずの船長。
ちょうどチャートの動きがこれまで経験のないような動きをはじめたタイミングで、損切りしていれば。少なくとも最初に投入した3万円は残ったでしょう。
しかし、せっかく頑張ってたくわえた利益をなくすことには抵抗を感じて、心のなかで葛藤していた数分間。
ところが、悩んでいた数分の間にチャートは大幅に変動、結局たくわえた利益をなくすだけではなく、元手となった3万円にも被害が及びました。ロスカットの後に残ったのは、数千円となった口座残高のみ(→これが現実、そして当然の結末)。
せめて、数千円分でもポジションを決済して損切りしていれば、ほとんどの資金は助かったでしょう。この段階でやっと「損切り」の本当の意味に気がついたワンパー船長。
むりやり「これも貴重な体験だな」と自分に言い聞かせている彼には、かける言葉もありません。
それなりに頭を使って手にした獲物のほとんどすべては、一瞬のチャンスをものにしたサメの腹の中。それが最初の航海の顛末です。
寄港して食料を調達、さらに旅は続く
サメに襲われた際にできた心の傷が癒える前に、再度の出港を決意したワンパー船長。これも結局は悪い結果を生みやすい要因となりそうです。
心理学によると、失敗体験は、成功のそれよりも大きなショックを受けるとのこと。失敗を取り返すためには、どうしても大きな成功体験が必要となるため、これまでよりも大胆な方向へ向かう傾向があるようです。
ワンパー船長の未来には、まだまだ波乱の予感が…
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